“The LaTeX Web Companion: Integrating TeX, HTML, and XML”で勉強したことについて,日本語環境で試した結果をまとめておく. 使用している環境は“PC-LaTeX環境”にまとめた通り.
印刷を前提とした整形文書の電子的公開は,今のところPDF(Portable Document Format)の利用が王道であると言える. ここでは,Adobe Acrobat 5.0を利用する.
“PC-LaTeX環境(各種設定)”通りになっているかよく確認すること.
以下の手順でLaTeXからPDFを容易に作成できる.
右図のようになるので,シアン色の“▽”で示したアイコン(2つのうち左の方)をクリックする(「ファイル」から「DVI->PSの変換」を選んだのと同じ).
dvipskがPostScriptファイルを作ってくれる.
ちなみに,“▽”で示した右のアイコンをクリックするとTeXを再コンパイルできる(これがGui-Shellをバージョンアップした理由).
右図のようになるので,シアン色の“▽”で示したアイコンをクリックする(「ファイル」から「PS->PDFの変換」を選んだのと同じ).
Adobe Distillerが立ち上がり,PDFファイルへの変換をしてくれる.
以上のように,手順はいたってシンプルであるが,若干注意を要するペーパーサイズについてまとめておく.
A4用紙の場合には,dvipskでPostScriptを作るときに,例えば下記のようなコマンドを実行することになる. オプションはそれぞれ“600dpi”,“A4紙”,“Type1フォントを埋め込む”という意味で,ここでは,“manu.tex”をコンパイルしてできた“manu.dvi”からPostScriptファイルを作ろうとしている. これに関しては何ら問題ない.
dvipsk.exe -D600 -t a4size -P dl manu.dvi
Distillerでは,ジョブオプションとして,電子配布に最適な“eBook”を選び,念のため,ペーパーサイズを確認しておく. 「設定」から「ジョブオプション」を選び,「一般」の中の「デフォルトページサイズ」が“21.0mm×29.7mm”になっていればOK. 苗村の環境では,デフォルトがletterサイズになっているため,A4用に“eBook-A4”なるジョブオプションを別途作成して利用している.
米国ではいまだにletterサイズの紙を利用している. このため,英語論文の多くは,letterサイズで作成する必要がある. 一生懸命PDFを作成しても,A4用になっていると,米国人が印刷した場合に一部が切れてしまったりといった不具合を生じかねない. letter用紙の場合には,dvipskでPostScriptを作るときに,例えば下記のようなコマンドを実行することになる. オプションで,“letter”を指定しているところに注意.
dvipsk.exe -D600 -t letter -P dl manu.dvi
問題は,“letter”への設定変更をGui-Shellでうまくできない点である. 「オプション」→「dvipsのオプション」で選べるようになっているのだが,dvipskを実行する際には無視されてしまう. この問題は,Gui-Shellで「ファイル」から「任意コマンドの実行」を選び,上記のコマンドをべた打ちして実行すればよい(manu.dviの部分だけ実際に作業しているファイル名に変更). これで問題解決(回避).
Distillerでは,ページサイズが“8.5inch×11inch”になっていればOK.
「設定」から「セキュリティ」を選んで設定しておくと,DistillerでPDFを作成する度に自動的にセキュリティロックをかけてくれる. ロックのかけ忘れ防止に有効. とりあえず「文書の変更を許可しない」くらいはチェックしておきたい. PDF1.4の機能を使うと,もっと細かい設定が可能であるが,それをやると古いAcrobat Readerで読めなくなる可能性がある. 今回は,eBookのデフォルト設定であるPDF1.3の範囲に留めておく.
PDF化を前提としたTeX文書作成の方法として,hyperref.cls は非常に簡単で有力である.
初めて使う前に,一度だけコンパイルをしておく. 下記の2つのファイルを,この順番でGui-Shellにドラッグ&ドロップする.
これで,自分の環境に適した hyperref.cls ができあがる. なお,“PC-LaTeX環境”で整備した環境では,ver.6.33 (1998/08/11) がインストールされる. 最新版は,“CTAN Search”から探すことができて,2001年10月現在では,ver.6.71e (2001/04/05)が最新版.
作成したLaTeX文書の中で,\begin{document}の前に以下のコメントを挿入してから,コンパイルしてみる. これだけで,図表や章番号,参考文献など,\refや\citeで記述された部分が,PDF中でハイパーリンクとして現れる. また,PDFのタイトルや作成者の欄に所望の情報を埋め込める. ただし日本語の場合,「しおり」の扱いが要注意.
\usepackage[
dvips, % 必須!
bookmarks=false, % 日本語だとしおりが文字化けしてしまう
colorlinks, citecolor=blue, % 文献へのリンクを青に
pdftitle={Paper Title},
pdfauthor={T. Naemura}
]{hyperref}
“C:\ptex\texmf\tex\latex\hyperref\manual.pdf”にあるマニュアルを読んで使いこなせば,かなり便利なツールになる. 既存の文書資源に,数行付け足すだけで,基本機能を利用できる簡便さも魅力的.
なお,dvioutでの表示が少しおかしくなるので,PDFを作って閲覧するとよい. 「しおり」における日本語はUnicodeで扱う必要があり,この点については“hyperrefと日本語”に対処法がある. 1992年に凍結されたpLaTeX ver.2.09では,当然ながら走らない.
上記の方法では,“manu.tex → manu.dvi → manu.ps → manu.pdf”という3度に渡る変換を,pLaTeX,dvipsk,Adobe Distillerを組み合わせて達成してきた. しかし特に英語圏では,“manu.tex → manu.pdf”を一発で通すpdfTeXが広く利用されている(Cygwinをインストールするだけでデフォルトで入ってくるほど).
しかし日本語が通らない. 非常に残念である. 英語用に開発されたすべてのツールを“日本語化”するのは容易なことではない. Unicode対応のTeXがベースになっていればどんなに楽なことか. “Omega and Japanese”に期待したい. この辺を使いたくなったら,pLaTeXのバージョンを上げる必要が出てくるはず. そこまでは立ち入らないことにする.
印刷よりも,画面上での動的レイアウトを優先させたい場合は,PDFではなく,HTMLでの文書公開を選ぶことになる.
飽きたのでまた今度.
